2024 年 60 巻 3 号 p. 415-422
目的・方法:2002年以降に本邦で報告された前置血管症例を文献検索で抽出し,情報を得た195例と自験例9例の204例について,分娩週数と転帰をもとに分娩至適時期に関する検討を行った.
結果:分娩時期が特定できた症例で,事前に診断され選択的帝王切開術となった症例は120例,未診断例および予定前に緊急帝王切開術となった症例は80例であった.これら200例の分娩週数は,妊娠33週未満が10.5%,妊娠34週未満が16.0%,妊娠35週未満では32.0%であった.それぞれの週数以前に予定された帝王切開を除いた場合,妊娠33週まで妊娠を継続できた割合が89.5%,妊娠34週までが84.4%,妊娠35週までが76.0%,妊娠36週までが60.8%であった.
考察:前置血管の分娩至適時期については,妊娠が継続できた割合を考慮し,妊娠34週まで待機することは十分に許容されるものと考えられた.