日本小児外科学会雑誌
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稀な胆道奇形,総肝管欠損症の1治験例
村松 俊範高橋 英世大沼 直躬田辺 政裕吉田 英生岩井 潤
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1994 年 30 巻 1 号 p. 95-100

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抄録
症例は7歳女児. 右上腹部痛及び灰白色便を主訴に来院した. 発作時一過性の肝機能異常を認めたが間歇期には正常であった. ERCP では膵胆管合流異常を認めず,エコー・PTC でも肝門部に何らかの異常の存在が疑われたが確定診断には至らなかった. PTC チューブよりシネ胆管造影を行ったところ,総肝管は造影されず,右側を迂回した後ラセン状に描出され,総胆管に続いていた. 総胆管走行異常または総肝管欠損症の術前診断で手術を行った. 胆嚢は炎症が強く,胆嚢床は肝床に深く潜り込んでいた. 肝内胆管は直接胆嚢に開口し,本来の総肝管の位置には管腔構造を認めなかった. 総肝管欠損症と診断し胆嚢及び下部総胆管を切除し,Roux-Y 脚にて肝管空腸吻合を行った. 術後経過は良好で,術後11日目に退院した. 術後2年の現在,症状の再発なく経過順調である. 非常に稀な奇形であるので文献的考察を加えて報告する.
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© 1994 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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