日本小児外科学会雑誌
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小児外傷性膵断裂の1治験例
田中 芳明溝手 博義矢野 博道小村 順一知光荒木 恒敏
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1994 年 30 巻 1 号 p. 101-107

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抄録
鈍的外傷後に発生した膵断裂症例を経験し,その保存的治療について検討した. 症例は9歳男児で,ブランコで腹部を打撲し膵体部損傷の疑いで当科を紹介された. 入院時画像診断にて膵体部断裂を強く疑ったが,腹部所見の限局化によって保存的治療を試みることとした. 経過観察中に膵仮性嚢胞が断裂部に形成され,28病日目に嚢胞の破裂のためドレナージ術を施行した. しかしながら,嚢胞の再発を認めたため,結果的にエコー下に経皮的外瘻術を行って治癒せしめた. 本症例の如く,膵仮性嚢胞か増大傾向にある場合は,まずエコー下に外瘻術を行うべきであると考えられた. また,主膵管損傷を伴う膵断裂を疑う症例においても,受傷後早期に腹膜炎症状が限局化し軽度の場合には,小児における臓器切除の将来的なデメリットを考えて,保存的療法も考慮されてよいと考えられた.
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© 1994 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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