1994 年 30 巻 2 号 p. 303-307
左副腎原発の病期 IVA 進行神経芽腫の7ヶ月女児に腫瘍全摘除術,左腎摘除術,リンパ節郭清を施行したところ,右腎動脈の攣縮による急性腎不全を発症し,さらに慢性腎不全となり術後の体液管理,化学療法に苦慮した.腎機能の回復に注意しながら cyclophosphamide, vincristine による James 療法を3分の1量より開始し漸増した.ついで通常量の pirarubicin, cyclophosphamide, vincristine による化学療法を行った.現在治療終了後5年が経過したが再発を認めず根治できたものと思われる.術後の腎不全患児の化学療法を中心に報告する.