日本小児外科学会雑誌
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左冠状動脈回旋枝 : 左心室瘻の1治験例
桜井 義也田中 一穂大谷 肇福中 道男今村 洋二野木 俊二
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1994 年 30 巻 7 号 p. 1317-1321

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抄録

先天性冠状動脈瘻は,冠状動脈造影の頻度の増加に伴いその頻度が増加している. しかし,その中でも非常に稀な左冠状動脈回旋枝から起始し,左心室に流入する先天性冠状動脈瘻症例を経験したので報告する. 症例は1歳9ヵ月男児. 冠状動脈造影にて拡張した回旋枝と回旋枝から左心室に流入する冠状動脈瘻を認めたため,Symbas 法にて瘻孔の直接閉鎖術を施行した. 術後造影では瘻孔は閉鎖されていたものの回旋枝は閉塞しており,回旋枝領域は右冠状動脈の側副血行路で潅流されていた. 瘻孔の閉鎖の確実性に関しては,Symbas 法は非常に優れた術式であるが,冠状動脈の血栓閉塞の可能性があり,幼小児例といえども術後抗凝血薬療法が必要であると考えられた. また,今後側副血行路の発達を注意深く観察していく必要があると考えられた.

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© 1994 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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