1994 年 30 巻 7 号 p. 1330-1335
内視鏡が診断及び治療に有効であった先天性梨状窩瘻の2例を経験した. 症例1: 11歳,女児. 乳児期より前頚部腫脹を反復していた. 内視鏡下の造影にて先天性梨状窩瘻の確診を得た. 術中瘻孔端の確認のため内視鏡下に色素を注入する事により瘻管を完全に摘出し得た. 症例2: 1歳9ヵ月,男児. 前頚部腫脹を認め,正中頚嚢胞の診断にて摘出術施行されるも再発を見た. 症例1と同様に内視鏡下に造影し本症の確診を得た. 本例では咽頭側からの切開を加えることにより瘻管の同定・完全摘出が可能であった. 先天性梨状窩瘻では,食道造影により診断がなされることが多いが,診断に難渋する症例のあることが知られ,本例のように内視鏡を利用した診断・治療が有用であることを強調した.