1995 年 31 巻 1 号 p. 27-30
肥厚性幽門狭窄症術後に先天性小腸胆嚢血管素による小児閉塞症を呈した極小未熟児の一例を経験した.この血管索は,胆嚢と回盲部から50cm の回腸腸間膜反対側に付着する径約5mm. 長さ4cm の索状物であり,胎生期の遠位卵黄嚢静脈の遺残であった.患児は生後17日目,肥厚性幽門狭窄症の手術を施行されていたが,その際は索状物に気づかれなかった.その術後59日目に腸閉塞状態となり,開腹により遺残血管素に起因するものと診断された.開腹所見では索状物により,回腸が絞扼されており,この部分は白色に瘢痕化していた.端々吻合を施行し,術後経過良好である.