日本小児外科学会雑誌
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血漿フィブロネクチン値の栄養指標としての有用性に関する実験的検討
中田 雅弘
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1995 年 31 巻 5 号 p. 765-771

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抄録
成長期低栄養ラット (kwashiorkor, marasmus) に高カロリー輸液 (350kcal/kg/日, kcal/N:107) を実施し,その前後の栄養指標の変動を血漿フィブロネクチン値を中心に検討した,全対象に体重増加を認め,実施中窒素バランスは常に正であった.総蛋白値,アルブミン値,レチノール結合蛋白値,血漿フィブロネクチン値はいずれの低栄養状態でも低値であった.また,7日間の高カロリー輸液により総蛋白値,アルブミン値は kwashiorkor ラットでのみ増加した.一方,レチノール結合蛋白値,血漿フィブロネクチン値は marasmus, kwashiorkor ラットいずれにおいても輸液後は増加した.この変動は血漿フィブロネクチン値においてより早く,輸液開始後第3日目にはすでにプラトーに達していた.以上より,血漿フィプロネクチン値の変動は栄養状態を反映し,高カロリー輸液による栄養状態改善時にはレチノール結合蛋白値より早期に改善することより,栄養アセスメントに有用な指標であることが示された.
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© 1995 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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