VATER association に合併した,男児不完全重複尿道2例を経験した. 症例1は4歳男児.主訴は二重尿線.食道閉鎖(Gross C), 橈骨列欠損,仙骨形成不全を合併していた.排尿時膀胱造影で Williams の分類の hypospadiac type の不完全重複尿道と診断した, 症例2は1歳4ヶ月男児.食道閉鎖(Gross C), 中間位鎖肛(recto-bulbar fistula), VSD を認め,鎖肛に伴う尿路奇形の精査のため当科受診.排尿時膀胱造影で hypospadiac type の不完全重複尿道,尿道憩室,尿道狭窄を認めた.また,両側腎孟拡張も認めた. VATER association には,近年,尿道の発生異常の合併頻度が高いとの報告がある.また,鎖肛症例に合併した重複尿道は,圧倒的に hypospadiac type が多く,一般の重複尿道の大半を占める epispadiac type は少ない.これらの症例は,hypospadiac type の重複尿道の発生を知る上で,非常に興味深いものと考えられた.