日本小児外科学会雑誌
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小児甲状腺癌の検討
佐々木 文章大川 由美田 尚幸佐々木 伸越前谷 勇人山本 浩史高橋 弘昌秦 温信
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キーワード: 小児, 甲状腺癌, ^<131>I 療法
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1997 年 33 巻 4 号 p. 716-722

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抄録

小児甲状腺癌の特徴を明らかにするために,当科で治療した小児甲状腺癌19例について病期,治療法,病態,病理組織所見,転帰について検討した. 年齢は4歳から15歳 (中央値は13歳),性別では男5例,女14例. 初診時の臨床症状は,19例中14例は前頸部腫瘤 (甲状腺腫) であった. 3例は頸部リンパ節腫脹,1例は嗄声,1例は喘鳴であった. 19例中5例 (26%) に肺転移がみられた. 1例は試験切除,18例には甲状腺切除が行われた. 肺転移例は術後の ^<131>I 療法のために全摘が行われている. 病理組織診断は,乳頭癌18例,濾胞癌1例であった. 浸潤傾向の強い例が多かった. 腺内転移は58.8% に,甲状腺外浸潤は66.6% に陽性であった. 橋本病様所見は36.8% にみられた. 転帰は,生存16例,死亡2例,他病死1例で,死亡例は初診時より肺転移がみとめられた例であり,いずれも ^<131>I 療法は行われていない. 小児甲状腺癌の予後は良好であるが,死因は遠隔転移,特に肺転移であり,治療上この対策が重要である.

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© 1997 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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