1998 年 34 巻 2 号 p. 323-326
症例は2カ月の女児.他院において生後1カ月頃, 肥厚性幽門狭窄症の診断にて臍部弧状切開によるRamstedt手術を受けた.退院後, 創右側に膨隆を認め当科を受診し, 腹壁瘢痕ヘルニアと診断した.入院後, ヘルニア修復術を施行した.術後早期に発生した腹壁瘢痕ヘルニアは, 閉腹時の不適切な筋層縫合や小さな視野における無理な操作による筋層の断裂によるものと推測され, より慎重な操作が必要であると考えられた.したがって美容的な面からの利点でのみ皮膚切開法の優劣を評価できないのではないかと考える.