日本小児外科学会雑誌
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先天性食道裂孔ヘルニア11例の臨床的検討
池上 玲一窪田 昭男奥山 宏臣大植 孝治黒田 征加神山 雅史八木 誠
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2003 年 39 巻 2 号 p. 187-192

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抄録

【目的と方法】当センターで経験した新生児期発症の4例を含む先天性食道裂孔ヘルニア11例について検討した.【結果】男児5例女児6例であった.4例に先天性心疾患の合併を認めた.うち3例は無脾症候群であった.9例が有症状で,9例全例が消化器症状を認め,うち6例に嘔吐,4例に哺乳障害,体重増加不良を認めた.また4例に呼吸器症状を認めた.うち3例に咳嗽,1例に肺炎を認めた.症状出現より診断までの期間は2日から865日で,平均254日であった.ヘルニアの病型は滑脱型が8例,短食道型3例であった.有症状例9例に手術を行った.うち3例を腹腔鏡下に行ったが,食道裂孔から行う縦郭内の操作は開腹下より良好な視野が得られた.【結論】食道裂孔ヘルニアは,胸部X線等にて比較的容易に画像診断が可能であるにも関わらず,貧血から体重増加不良まで症状が多彩であるために診断が遅れることが多い.

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