抄録
【目的】腹部外科においては,術後癒着性イレウスは未だ重要な問題である.今回,小児における術後癒着性イレウスの特徴を明らかにするため,小児外科疾患の開腹術後イレウスについて検討した.【方法】1983年から2000年までの18年間に当センターに術後イレウスとして入院した延べ143件,114例を対象とした.検討項目は先行手術施行時年齢,原疾患別イレウス発症率,先行手術から初回イレウス発症までの期間,イレウス発症時年齢,性別および治療結果とした.【結果】原疾患別イレウス発症率は,腸回転異常,術後イレウス,横隔膜ヘルニア,肝腫瘍などが10%以上と高値であった.初回イレウスは,術後6か月で約50%が発症し,3年で約75%が発症していた.イレウスに対する観血的治療が49件で,うち12件が壊死による腸切除を要した.観血的治療は,先行手術が1か月から1歳にかけて行われた症例に多かった.同時期に行われた腹腔鏡手術件数に対するイレウス発症率は0.7%であり,開腹手術の4.7%と比較すると有意に低かった.【結論】術後癒着性イレウスは,先行手術の癒着リスク(長い開腹創,広い漿膜欠損部位,広範な小腸操作)が多い場合に発症率が高い.予防は,腹腔鏡の適応を拡大し,開腹する場合は必要最小限の創で行い,損傷した漿膜はできる限り修復する.術後癒着性イレウスは,先行手術から3年以上経過しても約25%が発症し,初回イレウス時は特に絞扼に対する注意が必要である.