日本小児外科学会雑誌
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小児のVUR根治手術 : 現時点の至適術式と周術期管理の検討
山崎 雄一郎家後 理枝鈴木 万理東間 紘
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2003 年 39 巻 2 号 p. 204-209

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抄録

【目的】小児の膀胱尿管逆流症(VUR)に対する現時点の至適手術・周術期管理を考えるため,最近5年間に当科でVUR根治術を施行した症例に関して成績,術後管理法,周術期の患児・家族のQOLを検討した.【対象と方法】1997年1月より2002年3月までの5年間に当科で施行した35例の小児原発性VURを対象とした.手術時年齢は平均3.5歳,VURは片側例15例,両側例20例であった.術式は膀胱外再建法14例,膀胱内再建法21例であった.術式・周術期管理の検討項目は手術成績,入院期間,ステントおよび留置カテーテルの使用の有無,術後持続硬膜外麻酔の使用の有無,そして患者家族のアンケートによる短期入院管理の評価とした.【結果】逆流消失率は100%であり,片側例で反対側の術後VUR出現2例を除くと合併症は認めなかった.入院期間は平均4.5日であり,手術当日入院を原則としてからは平均2.3日に短縮された.術後尿管内ステント留置症例は0例.膀胱内カテーテル留置期間は平均1.9日.術後の持続硬膜外麻酔の併用は膀胱外再建例では使用されなかった.患者家族のアンケートでは手術当日の入院を63%が支持し早期退院・自宅管理については92%が支持した.【結論】小児のVUR根治術は術式によらず現時点では3日以内の短期入院で安全に施行でき,患者家族の満足度も高い.膀胱内再建法,膀胱外再違法で成績に相違はないが膀胱外再建法では血尿・テネスムスがないことより術後の家族の不安は少ない.術後管理において尿管ステントは通常不要であり,膀胱内のカテーテル留置は術後1〜2日間でよいと考える.

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