直腸肛門奇形,仙骨前腫瘤,仙骨奇形を三徴とするCurrarino症候群(以下本症と略す)は非常に稀な疾患として知られている.今回我々は本症と考えられた4例を経験したので文献的考察を加えて報告する.性別は男児1例,女児3例.直腸肛門奇形は直腸狭窄1例,中間位鎖肛1例,総排泄腔症1例,総排泄腔外反症1例であった.仙骨前腫瘤は成熟奇形腫1例,脂肪腫1例,脊髄嚢瘤2例.仙骨奇形は三日月状欠損1例,右側欠損1例,形成不全2例であった.直腸狭窄例,総排泄腔外反症は永久人工肛門を造設し経過観察中,総排泄腔症,中間位鎖肛例は根治術後である.本症と考えられる症例は,直腸肛門病変に対する治療方針を決定する上で,早期に仙骨前腫瘤等の合併病変の有無を検索し,直腸肛門奇形の病型や重症度,画像診断を用いた仙骨前腫瘤の質的診断も重要であると考えられる.