日本小児外科学会雑誌
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新生児壊死性腸炎疑診後に結腸狭窄をきたした1例
後藤 真松野 孝井手之上 里美前田 知美縫 明大平間 敏憲
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2003 年 39 巻 4 号 p. 613-618

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抄録

新生児壊死性腸炎疑診例で,続発症として結腸狭窄症を発症した1例を報告する.症例は,在胎33週2日1,498gで出生した男児で,日齢7にミルクを嘔吐し,翌日血便を認めたため壊死性腸炎(NEC)が疑われた.保存療法で速やかに改善し,NECの確定診断には至らなかった.日齢22に胆汁性嘔吐が出現し,無呼吸発作・著明な腹満・腸炎を発症した.注腸造影で脾彎曲部に狭窄を認めたため,日齢26に横行結腸に人工肛門を造設した.その後人工肛門の肛門側横行結腸に新たに狭窄が出現,生後8か月に2か所の狭窄部を切除した.欧米でのNEC後の腸管狭窄の報告では,ほとんどがNEC確定診断例に発症しているが, NECが疑診であっても続発症として腸管狭窄をきたす可能性があり,重篤化する例も知られることから,NEC疑診例でも1-2か月は慎重な経過観察が必要と思われた.

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