抄録
回腸重複症に併発した回腸リンパ管腫の1例を経験した.症例は5ヵ月,女児.胆汁性嘔吐を主訴に,消化管重複症による腸閉塞栓の術前診断で開腹術を施行した.腫瘤は回腸末端の腸間服付着側にあり,これを原因とする腸閉塞症と診断し回旨部切除,回腸上行結腸吻合術を施行した摘出腫瘤は病理組織学的に回腸重複症とこれに併発した回腸リンパ管腫であった.消化管のリンパ管腫は稀であり,特に消化管重複症に併発したリンパ管腫の報告は見当たらない.本別は極めて稀有な症例と考えられるか,消化管のリンパ管腫は小児期腸閉塞症の原因となり得る疾患である.