日本小児外科学会雑誌
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ロタウイルスの罹患を契機に著明に肝機能が悪化した胆道閉鎖症の1例
秋山 卓士
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2003 年 39 巻 7 号 p. 945-948

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抄録

ロタウイルス(以下RV)は人の胃腸炎の病原体として,主に乳幼児に急性嘔吐下痢症を起こすものとして知られている.しかし,消化管以外にも脳症やけいれんなどの中枢神経の症状や腸重積症を引き起こすと報告されている.また肝障害が50〜70%に起きると報告されている.われわれは胆道閉鎖症術後に,減黄し,食道静脈瘤と軽度の肝機能障害を認めていた症例で,RVに罹患時に著明な肝機能の悪化を経験した.通常の正常小児ではRV罹患時に,肝機能障害を呈しても,ほとんど自然に回復するが,患児のようにぎりぎりで胆汁分泌を確保し,軽度の肝機能障害がある症例では,RVに罹患した祈には十分に注意する必要があるように思われた.

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