日本小児外科学会雑誌
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臍炎由来と考えられた腹壁膿瘍の1乳児例
久松 千恵子前田 貢作大北 裕
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2003 年 39 巻 7 号 p. 955-959

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抄録

今回われわれは,臍炎が進行し腹壁膿瘍を発生したと考えられた1乳児例を経験した.症例は2ヵ月女児.右下腹部と鼠径部の腫脹に母親が気付き近医受診.腹腔内腫瘤の疑いにて当科に紹介となった.来院時,腫瘤直上の皮膚の発赤・腫脹を認め,また臍より膿の排泄を認めた.腹部CTでは臍と腹壁の腫瘤に連続性が疑われた.手術で腹壁腫瘤の摘出を試みたところ,腫瘤は膿瘍であり,右臍動脈常に沿って臍と連続する瘻孔を形成していた.臍下部に小切開を追加し,瘻孔を摘出.術後経過は順調である.本例のように臍炎より臍動脈索を介して腹壁膿瘍を形成した報告は稀と考えられた.

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