2004 年 40 巻 5 号 p. 665-671
肺葉性肺気腫は,先天性あるいは後天性に所属する肺葉あるいは区域気管支の病変によりcheck valve機序が生じたために発生する比較的稀な病態である.われわれは最近,乳児期に発生した肺葉性肺気腫の1例を経験した.症例は,3生月の男児.2生月頃より啼泣時のチアノーゼが出現し,その後哺乳不良,体重増加不良,努力呼吸となった.前医にて胸部X線単純写真やCT所見より,肺葉性肺気腫が疑われ当院へ紹介された.胸部X線単純写真やCT所見より右肺上葉に生じた肺葉性肺気腫の状態と考え,上葉切除術を施行した.切除標本での病理学的検索では気管支病変は認めず,肺葉性肺気腫の原因は不明であった.術後経過は順調で術後17日目に退院となり,以後呼吸状態に問題ない.