2004 年 40 巻 7 号 p. 895-900
我々は新生時期ならびに胎児期に発症した副腎出血の2症例を経験したので報告する.症例1は日齢4の男児で,新生児黄疸の診断で当院に紹介された.CTにて右副腎に35mm大の腫瘤を認め,出血が疑われた.2週間後のCTにて腫瘤の縮小と内部濃度の変化を認め,右副腎出血と考えた.症例2は妊娠36週の胎児エコーで腹腔内に嚢胞性病変を指摘され,当院に紹介となった女児で出生後のCTにて右副腎に50mm大の嚢胞を認めた.日齢10のエコーで内部に隔壁様構造が出現し,2ヵ月時のCTでは腫瘤の縮小を認め,右副腎出血と考えた.副腎嚢胞性腫瘤では,副腎出血と嚢胞状神経芽腫との鑑別が重要であり,特に胎児診断された場合は神経芽腫の可能性が高くなるが,この2症例では2ヵ月間の経過観察で腫瘤の縮小と血中NSEの低下が確認され,副腎出血との診断が妥当であると思われた.