出生前に肝内腫瘤像を指摘され出生後の精査にて肝芽腫(poorly differentiated hepatoblastoma)と診断された症例を経験した.日本小児肝がんスタディグループ(JPLT)による病期分類上stage III Aの進行例で, 術前JPLT91B2の化学療法を施行.拡大肝右葉切除術にて腫瘍を完全摘出した後, 進行型神経芽細胞腫の治療プロトコール(new A1)を併用し, 現在再発, 転移なく経過している.先天性肝芽腫は報告が少なく本邦においては22例のみで, 出生前診断例は本症例が最初の報告例であった.その治療方針について文献的考察を加えて報告する.