日本小児外科学会雑誌
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胸部腎を伴った遅発性右横隔膜ヘルニアの1例
後藤 幸子深田 良一常盤 和明
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2006 年 42 巻 2 号 p. 248-251

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抄録
胸部腎は稀にみられる腎の発生異常であるが,さらに稀な横隔膜ヘルニアに伴う胸部腎の1例を経験した.症例は2歳2カ月の男児で在胎40週2日,2,758gにて出生し,出生直後は特に異常なく,生後1カ月時に上気道炎症状のために検査された胸部X線写真でも異常所見を認めなかった.生後4カ月時に胸部X線写真で右下肺野に浸潤影を認めるも肺炎と診断されたが,その後も繰り返す気管支炎症状のために施行した生後8カ月時の胸部CT検査にて右横隔膜ヘルニアと診断された.反復する気管支炎の軽快を待って2歳2カ月時に根治術を施行したが,ヘルニアは有嚢性で,肝右葉,横行結腸と共に右腎の胸腔への脱出を認めた.本例は横隔膜介在型の胸部腎で横隔膜形成過程における異常との関連が示唆されるが,明らかな成因については不明であり,文献的考察を加えて報告する.
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