2007 年 43 巻 1 号 p. 23-31
【目的】腸重積症はほとんどが特発性腸重積症であるが,器質的疾患を有する症例も含まれ,それぞれに適切な診療を行うことが重要である.当施設における腸重積症の臨床的特徴を明らかにする目的で症例の検討を行った.【方法】1995年1月から2006年2月の腸重積症自験例139例について調査し,臨床的特徴について検討した.さらに器質的疾患を有した症例については本邦報告例を集計し,その内容・頻度などについて検討を加えた.【結果】男女比1.54で男児に多く,年齢は1歳未満が51.7%で,月齢7か月にピークを示した.月別発生数については4月と9月にピークを示した.病型は68.2%が回盲部型であった.全症例の43.4%に前駆症状を認めた.159回行われた整復術のうち73.6%は非観血的整復術であった.回腸回腸結腸型に対する18回の整復術のうち66.7%が観血的整復術で,ほかの病型に比して観血的整復術の頻度が高かった.器質的疾患を有した症例は5例(3.6%;Meckel憩室2例,大腸若年性ポリープ2例,急性虫垂炎術後埋没断端1例)で年長児に多く,回盲部型は1例のみであった.3例(60.0%)に再発を認めた.本邦報告例では6,681例中183例(2.7%)に器質的疾患を認め,Meckel憩室30.0%,腸管重複症12.0%,異所性組織8.2%,若年性ポリープ5.5%,悪性リンパ腫5.5%の順で多かった.【結論】自験例でも多くが特発性で6か月前後の男児に多かった(男女比:1.54).一方器質的疾患によるものにおいて年長児や回盲部型以外の病型が多く,再発の頻度も高かった.原因疾患の多様性を念頭に入れた対応が必要であると思われた.