成人では人工肛門閉鎖時に環状皮膚縫合法を行い,感染制御に優れている事,感染の有無に関わらず創部の整容性に優れている事が報告されているが,小児での報告例は少ない.我々は鎖肛根治術後の結腸人工肛門閉鎖時に環状皮膚縫合法を行ったので報告する.症例は 9 か月男児.中間位鎖肛に対して,生後1 日目に人工肛門造設,生後6 か月時に仙骨会陰式肛門形成術を施行.生後9 か月時に環状皮膚縫合法による人工肛門閉鎖を行った.人工肛門を仮閉鎖し,周囲皮膚を3 mm 程度残す形で環状切開した.腸管を吻合し,腹膜と筋膜は吸収糸にて閉鎖した.皮下は吸収糸で巾着縫合をかけ,皮膚は真皮に 3-0 ナイロン糸で巾着縫合をかけ,5 mm 程度の間隙をドレナージ孔として残した.術後は創感染を認めず,創長は人工肛門の長径のほぼ半分程度であり,創部の整容性に優れていると考えられた.小児の人工肛門閉鎖術における環状皮膚縫合法は,創感染予防において優れた方法と考えられた.