2013 年 49 巻 7 号 p. 1224-1228
【目的】小児良性卵巣腫瘍の外科治療では,腫瘍の根治性に加えて患側卵巣の温存が求められる.当施設で行っている小児良性卵巣腫瘍に対する腹腔鏡補助下腫瘍核出術の有用性について検討を行った.
【方法】2010 年8 月~2013 年3 月に当施設で腹腔鏡補助下腫瘍核出術を施行した15 歳以下の良性卵巣腫瘍症例を対象とし,診療録をもとにして後方視的に検討を行った.手術は,初めに腹腔鏡で腫瘍と対側卵巣を観察し,腫瘍茎捻転症例では捻転解除を行う.次に恥骨上の小開腹創から腫瘍の囊胞部分を穿刺し内容液を吸引する.腫瘍と患側卵巣を体腔外へ引き出し,腫瘍を核出する.
【結果】8 例(成熟奇形腫7 例,漿液囊胞腺腫1 例)に対して腹腔鏡補助下腫瘍核出術が行われた.手術では,全例で腹腔内への腫瘍内容漏出なく腫瘍の核出が可能であった.腫瘍茎捻転は2 例で認められた.1 例は一期的に捻転解除と腫瘍核出を行い,もう1 例では初回手術は腹腔鏡下の捻転解除のみとし5 日後の二期手術で腹腔鏡補助下に腫瘍核出を行った.術後平均入院期間は4.1 日(3 ~6 日間)であった.術後平均観察期間は17 か月(2 ~31 か月)で,成熟奇形腫の対側発症を1 例認めた以外に再発はなかった.
【結論】腹腔鏡補助下腫瘍核出術は,小児良性卵巣腫瘍に対して腫瘍の根治性を保ち,卵巣を温存できる有用な手術法であると考えられる.