日本小児外科学会雑誌
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症例報告
完全内臓逆位に合併した多発奇形の1 例
鈴木 淳一土岐 彰千葉 正博杉山 彰英菅沼 理江田中 彩中山 智理小嶌 智美大澤 俊亮渡井 有
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2013 年 49 巻 7 号 p. 1234-1239

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抄録
症例は,現在14 歳の女児で,出生前診断で総排泄腔遺残症と診断され,在胎34 週で出生し完全内臓逆位・潜在性二分脊椎・左腎欠損・消化管重複症と診断された.3 歳時に直腸肛門奇形に対する根治術を行い,左側のミューラー管の形成不全とウォルフ管が遺残した結果出来た特殊な瘻管を合併切除した.4 歳時に膵・胆管合流異常症に伴う胆道拡張症を発症し肝外胆管切除,肝管空腸Roux-Y 吻合を行った.また,12 歳時に左伝音性難聴を指摘され,耳小骨奇形が原因と診断された.本症例の多発奇形は,Zic3 遺伝子が関連する内臓逆位・脊椎奇形・直腸肛門奇形(総排泄腔遺残症)とMURCS 連合であるミューラー管無形成(MU)・腎無形成(R)・頸胸椎異形成(CS)および伝音性難聴,さらに消化管重複症,膵・胆管合流異常症が複合して発症したと考えられた.今後,同様の多発奇形に関する発生機序の解明や遺伝子解析の一助になればと考え報告した.
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