日本小児外科学会雑誌
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症例報告
術前に悪性腫瘍と鑑別困難であった肝血管形成異常の1 例
中畠 賢吾上原 秀一郎大植 孝治上野 豪久銭谷 昌弘奈良 啓悟曹 英樹臼井 規朗堀 由美子森井 英一
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2013 年 49 巻 7 号 p. 1240-1243

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抄録

症例は7 歳男児.Lowe 症候群で当院小児科に通院中であった.近医での超音波検査で肝右葉に腫瘤を認めたため,当科に紹介となった.造影CT では辺縁が強く造影されたが,中心部は造影効果がなく,周囲に結節が多発していた.造影MRI ではT1 強調画像で低信号,T2 強調画像で高信号を呈した.血管内皮腫などの良性腫瘍が考えられた一方で,未分化肉腫などの悪性腫瘍も否定できず,右葉切除を施行し腫瘍を全摘した.病理組織診断では先天性血管腫または血管奇形の1 病変であるcapillary malformation の診断であった.小児の肝腫瘍においては画像検査や血液検査のみでは悪性腫瘍か否かを診断困難な症例も散見される.また血流豊富な症例では生検は困難であり,術前診断と治療方針の決定に難渋することもあるため,そのような症例では外科的切除を優先せざるを得ない症例もある.

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