日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
症例報告
脳室腹腔シャントチューブによるS状結腸穿孔の1 例
石井 智浩森田 圭一津川 二郎佐藤 志以樹
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 50 巻 2 号 p. 230-234

詳細
抄録
症例は女児.脳室内出血後水頭症に対し生後11 か月に脳室腹腔シャント(VPS)術が施行された.2 歳時に肛門からチューブが脱出したため受診した.発熱はなく,腹部は平坦で圧痛を認めず,血液生化学検査上も急性炎症の所見は認めなかったが,腹部単純レントゲン写真でVPS チューブが肛門に向かい脱出しているのが確認された.VPS チューブによる消化管穿孔(本症)と診断,消化管穿孔部の処置と外シャント化が必要と判断した.まず腹腔内を腹腔鏡で観察すると,VPS チューブはS 状結腸に穿孔していたが,チューブは線維性被膜に包まれ,腹腔内に便漏出を認めなかった.右前胸部を切開して皮下のシャントチューブを露出・切断してチューブ末梢側を肛門から抜去し,線維性被膜の結腸移行部を結紮した.術後,早期より経口摂取が開始でき,腹腔内合併症は認めなかった.本症に対し,腹腔内の便漏出の有無の確認と穿孔部処置が確実に行える点で腹腔鏡下処置は有用であった.
著者関連情報
© 2014 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top