2014 年 50 巻 5 号 p. 916-919
症例は生後2 か月男児.急性腸炎疑いで入院加療中急激に腹膜炎症状を呈したため緊急開腹術を施行した.開腹時,腹腔内から大量の乳びが噴出し,右後腹膜の破綻を認めたが,乳び腹水の原因となるような器質的病変は認めなかった.そのため腹腔内洗浄と腹腔ドレナージを施行した.術後経過は良好で,術後は成分栄養剤(EDP),MCT ミルク等を使用し,再発なく軽快退院した.乳び腹水による腹膜炎の症例報告は稀であるが,急性腹症の鑑別診断として考慮しておくべきである.