日本小児外科学会雑誌
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50 巻, 5 号
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おしらせ
追悼文
原著
  • ―当施設における5 年間の検討―
    柳澤 智彦, 前田 貢作, 小野 滋, 辻 由貴
    2014 年 50 巻 5 号 p. 873-878
    発行日: 2014/08/20
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    【目的】最近5 年間の当科の急性虫垂炎の治療成績をまとめ,治療方針の妥当性を検討した.
    【方法】2007 年6 月から2012 年5 月までの5 年間に当科で治療した虫垂炎患者171 例(男児115 例,女児56 例)を後方視的に検討した.検討項目は年齢,性別,緊急手術の有無,穿孔の有無,腹水培養検査,術後合併症とした.腹水培養検査は穿孔例と非穿孔例の2 群で検討した.穿孔例を術後抗菌薬変更の有無で更に2 群にわけ腹水培養結果,合併症を検討した.
    【結果】171 症例中153 例(男児103 例,女児50 例)が当科の治療方針に従い治療され,保存治療35 例,緊急手術118 例であった.手術症例では非穿孔75 例,穿孔43 例であった.手術患者全例に腹水培養が施行され,培養陽性率は非穿孔12%,穿孔74%であった.検出菌は非穿孔11 菌種,穿孔22 菌種で,大腸菌,緑膿菌,連鎖球菌属,バクテロイデス属が上位を占めた.薬剤耐性菌は穿孔37%に検出された.術後合併症は非穿孔1 例,穿孔9 例(のべ11 例)に認め,非穿孔では腹壁瘢痕ヘルニア1 例,穿孔では創感染2 例,遺残膿瘍5 例,イレウス3 例,回腸穿孔1 例であった.穿孔例での「抗菌薬変更なし」30 例,「抗菌薬変更あり」13 例であった.培養陽性率,薬剤耐性菌同定率は2 群に有意差はなく,術後合併症は抗菌薬変更あり群が有意に多かった.腹水培養結果より,穿孔例で高率であった遺残膿瘍は薬剤耐性菌を含む複合感染が原因と考えられた.
    【結論】全虫垂炎治療患者の93.5%に合併症なく安全に治療可能であり当科の治療方針の妥当性を示した.
  • 奥山 直樹
    2014 年 50 巻 5 号 p. 879-883
    発行日: 2014/08/20
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    【目的】慢性機能性便秘症は一般的に予後良好とされ,多くの患児が緩下剤投与や浣腸による排便調整にて改善する.しかし一部に長期に渡る保存的治療に抵抗性の症例がある.これらの症例のなかに高位での椎弓癒合不全を有する症例を多く認めた.排便困難が特に強い患児に対し,脊髄の異常など器質的病変を探す目的で腹部・骨盤CT を施行した.このCT から3D 画像を構築し椎弓の癒合不全を評価した.
    【方法】2003 年から2011 年にかけ,高度の排便困難にてHirschsprung 病が疑われ当科紹介となった157 例に注腸および直腸肛門内圧検査を施行した.Hirschsprung 病およびその類縁疾患6 例を除く151 例に対し排便調整を行った.浣腸以外に自然排便がなく,排便調整を1 年以上続けても症状が改善しない症例,および遺糞症にて鎮静下摘便を繰り返す20 例(13.2%)を,高度の慢性機能性便秘群とした.腹部・骨盤CT から3D-CT を構築し,椎弓癒合不全が始まる高さを評価した.比較対象は虫垂炎,神経芽腫や腸重積症などにて同時期に腹部CT を施行された非便秘症群29 例とした.
    【結果】非便秘群の3.4%はL5 以下で,34.5%はS1 以下で椎弓の癒合不全を認めた.これに対して高度慢性機能性便秘群の55.0%はL5 以下で,90.0%はS1 以下で椎弓の癒合不全を認め,有意に高値となった.
    【結論】高度の慢性機能性便秘群は,有意に高位で椎弓癒合不全が存在する結果となった.
  • 久保 裕之, 下野 隆一, 田中 彩, 藤井 喬之
    2014 年 50 巻 5 号 p. 884-889
    発行日: 2014/08/20
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    【目的】精巣微小石灰化症(testicular microlithiasis;以下TM)は精細管内に特徴的な石灰化を認める比較的稀な病態である.成人では不妊症や腫瘍発生との関連が指摘されているが,小児におけるTM の頻度,臨床的特徴についての報告はほとんどない.そこで今回,我々は超音波検査にて発見されたTM についてその頻度と臨床像について検討し,その臨床的意義を考察した.
    【方法】2012 年に香川大学附属病院小児外科外来で,停留精巣,鼠径ヘルニア,陰囊水腫,移動性精巣,精索水腫,萎縮精巣,精巣上体炎,精巣腫瘍の診断にて精巣超音波検査を施行した212 例(平均年齢3.0±2.9 歳(0~16))を対象とした.精巣超音波検査1 画像断面に5 個以上の石灰化を精巣内に認めた場合をTM と定義し,TM 症例発生頻度を調査した.さらにこのTM 症例について臨床記録をもとに,臨床像を後方視的に検討した.
    【結果】全対象例212 例中5 例(2.4%)にTM を認めた.TM は停留精巣(3 例〔固定術後2 例,無治療1 例〕/91 例),萎縮精巣摘出後の対側(1 例/3 例),精巣上体炎(1 例/1 例)に認めた.鼠径ヘルニア,陰囊・精索水腫,移動性精巣,精巣腫瘍摘出後の対側にはTM は認めなかった.TM を認めた5 症例の平均年齢は10.0±3.4 歳(8~16)であり,基礎疾患にネフローゼ症候群,ダウン症・急性白血病,重症心身障害がみられた.
    【結論】小児TM 症例は何らかの精巣機能低下のサインの可能性が高く,不妊症や腫瘍発生のリスク要因である可能性もあるため,定期的・長期的な注意深いフォローが必要である.
症例報告
  • 大片 祐一, 横井 暁子, 尾藤 祐子, 中尾 真, 園田 真理, 谷本 光隆, 吉田 拓哉, 長谷川 智巳, 大嶋 義博, 西島 栄治
    2014 年 50 巻 5 号 p. 890-894
    発行日: 2014/08/20
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    右肺低形成・left pulmonary artery sling・bridging bronchus を合併した先天性気管狭窄症に対して大動脈前方でのスライド気管形成術を行い良好な経過を得たので報告する.症例は9 か月女児.上気道炎に伴い喘鳴が悪化し,胸部造影CT にて右肺低形成を伴う先天性気管狭窄症と診断され当科入院となった.受診時は軽度の狭窄音を認める程度であったが入院4 日目に持続する啼泣から急速に換気不全を来たし人工呼吸管理としたが改善せず,入院7 日目に準緊急的にスライド気管形成術を行った.右肺が低形成のため,右肺過膨張の進行に伴い大動脈弓による気管の背側への圧排・屈曲が増悪したと考え,気管形成術を大動脈弓の前方で行った.さらに,形成部の気管軟化症に対する予防的処置として自己心膜を気管に巻きつけ気管壁とともに胸骨につり上げた.術後経過は良好で12 日目に抜管,術後3 週間で退院,術後1 年9 か月が経過した現在無症状で経過している.
  • 金城 昌克, 三宅 啓, 森田 圭一, 納所 洋, 矢本 真也, 宮野 剛, 福本 弘二, 漆原 直人
    2014 年 50 巻 5 号 p. 895-899
    発行日: 2014/08/20
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    下半身麻痺にて発見された比較的まれなdumb-bell 型ganglioneuroma を経験したので報告する.2 歳時,発熱を契機に下肢麻痺が出現したが1 か月後に自然軽快した.2 歳9 か月時,再度発熱を契機に下肢麻痺が出現し,3 歳時に当院紹介された.右腎下極の後腹膜から脊柱管内に広がるdumb-bell 型の腫瘍を認めた.生検でganglioneuroma が疑われ,さらなる鑑別診断や神経症状に対し腫瘍の部分切除を行った.摘出組織よりganglioneuroma,mature と確定診断した.術後約1 年経過し,両下肢が少しではあるが動かせるようになり運動麻痺はわずかに改善傾向にある.残存腫瘍の増大は認めていない.腫瘍は右腎下極後腹膜の交感神経節から発生し増大したのち成熟・分化したと思われるが,分化後の増大により脊髄圧迫症状を来したものと考えられた.
  • 栁 佑典, 松浦 俊治, 林田 真, 田口 智章
    2014 年 50 巻 5 号 p. 900-905
    発行日: 2014/08/20
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    今回我々は重症肝肺症候群を合併した胆道閉鎖症に生体肝移植を施行し,良好な結果を得た1 例を経験したので報告する.症例は14 歳女児.胆道閉鎖症に対し65 生日に肝門部空腸吻合術を施行.11 歳時より次第に黄疸・低酸素血症が進行.移植前はroom air でPaO2 39 mmHg,SpO2 80%前後,肺内シャント率41%と重症肝肺症候群を来していた.父親をドナーとする拡大左葉グラフトを用いた生体肝移植を施行.術後早期に2 度の消化管穿孔を来した.術後1 か月目にシャント率59.9%と一過性に増悪を認めたが,術後6 か月時にはroom air でSpO2 100%,PaO2 90.0 mmHg,シャント率11.9%と著明な改善を認めた.重症肝肺症候群を合併した胆道閉鎖症に対する生体肝移植は術後合併症に注意を要するが,移植禁忌とはならない.しかし,長期予後についての十分なエビデンスは少なく,慎重な経過観察が必要である.
  • 矢田 圭吾, 石橋 広樹, 森 大樹, 佐藤 宏彦, 島田 光生
    2014 年 50 巻 5 号 p. 906-909
    発行日: 2014/08/20
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    遅発性先天性横隔膜ヘルニア嵌頓の報告はまれであり,術後縦隔膿瘍を来した症例の報告は今までない.症例は1 歳,女児.生後3 か月時に心室中隔欠損症に対してパッチ閉鎖術歴あり.呼吸困難感を主訴に受診.横行結腸の嵌頓壊死を伴うcentral tendon defect 型の横隔膜ヘルニアに対して,腸切除およびヘルニア門縫合閉鎖を行った.術後発熱を認め施行した造影CT ではヘルニア囊の頭側で心臓の左側に5 cm 大の膿瘍像を認め,術後12 日目に膿瘍ドレナージ術を施行した.胸骨正中切開によるドレナージや,エコーを用いた経皮的・経腹壁的ドレナージが困難であったことから,胸腔鏡観察下にバルーン付きカテーテルを左胸壁・胸腔を経て縦隔膿瘍内に留置した.その後の経過は良好であった.腸壊死を伴うcentral tendon defect 術後の縦隔膿瘍ドレナージに際しては,前胸腹部からのアプローチが困難な症例では,胸腔鏡下アプローチが有用であると考えられた.
  • 佐々木 理人, 増本 幸二, 新開 統子, 五藤 周, 瓜田 泰久, 上杉 達, 玉井 香菜, 福島 敬, 佐藤 泰樹, 野口 雅之
    2014 年 50 巻 5 号 p. 910-915
    発行日: 2014/08/20
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    症例は9 歳男児.頭痛,嘔吐,高血圧を契機に両側の副腎腫瘤を指摘された.精査にて両側副腎褐色細胞腫と診断し,術後の副腎機能温存を目的として両側副腎部分切除術を施行した.副腎機能不全を呈することなく,補充していたステロイドは漸減し,術後4 か月目に終了となった.また,術後に遺伝子検査を施行し,von Hippel-Lindau 病と診断した.両側副腎褐色細胞腫に対する副腎部分切除は,術後の副腎機能を温存できる可能性があり,特に小児においては長期にわたるステロイド補充を回避できる利点がある.しかし,遺残副腎への再発の可能性等も考えられ,有効性に関しては未だ報告が十分ではなく,小児例の報告も少ない.今回,両側副腎部分切除を選択し,術後の副腎機能を温存し得た両側副腎褐色細胞腫の1 例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 大津 一弘, 亀井 尚美, 上田 祐華
    2014 年 50 巻 5 号 p. 916-919
    発行日: 2014/08/20
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    症例は生後2 か月男児.急性腸炎疑いで入院加療中急激に腹膜炎症状を呈したため緊急開腹術を施行した.開腹時,腹腔内から大量の乳びが噴出し,右後腹膜の破綻を認めたが,乳び腹水の原因となるような器質的病変は認めなかった.そのため腹腔内洗浄と腹腔ドレナージを施行した.術後経過は良好で,術後は成分栄養剤(EDP),MCT ミルク等を使用し,再発なく軽快退院した.乳び腹水による腹膜炎の症例報告は稀であるが,急性腹症の鑑別診断として考慮しておくべきである.
  • 田中 彩, 下野 隆一, 久保 裕之
    2014 年 50 巻 5 号 p. 920-924
    発行日: 2014/08/20
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    症例は4 歳,男児.臍から心窩部にかけての痛みと嘔吐が出現し,2 日間持続した.当院での腹部超音波検査および腹部造影CT では胆囊の腫大と壊死を伴った壁肥厚がみられ,胆囊捻転症と診断した.腹腔鏡にて観察したところ胆囊は著明に腫大しており,捻転,壊死を起こしていたため腹腔鏡下に切除した.胆囊捻転症は特徴的な所見に乏しく診断が困難とされているが,本症例では超音波検査と造影CT が診断に有用であった.小児において胆囊捻転症は稀な疾患であるが,小児の急性腹症の鑑別として念頭におくことが重要と考える.
  • 米山 知寿, 阪 龍太, 佐々木 隆士, 野瀬 聡子, 塚田 遼, 中尾 篤典, 山田 勇, 兼松 明弘, 奥山 宏臣
    2014 年 50 巻 5 号 p. 925-929
    発行日: 2014/08/20
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    小児の直腸杙創は比較的まれである.今回われわれは,尿路系に損傷を伴った直腸杙創の1 例を経験したので報告する.症例は11 歳男児.椅子の背もたれの上に立っていたところ,椅子が破損し転落.会陰部に破損した椅子の木片が刺入した.家族にて木片は抜去され,前医に救急搬送された.大腸内視鏡で径2 cm の腹膜外直腸穿通を認め,精査・加療目的で当院に転院搬送された.CT で直腸・精囊・膀胱損傷を認め,受傷後8 時間で緊急手術を施行した.試験腹腔鏡で,膀胱穿孔を認めたため,腹腔鏡下に膀胱壁を縫合閉鎖し,S 状結腸人工肛門を造設した.術後経過は良好である.腹腔内臓器損傷の検索・治療に腹腔鏡が有用であった.直腸杙創に対する腹腔鏡手術の報告は少なく,文献的考察をまじえ報告する.
  • 今治 玲助, 向井 亘, 秋山 卓士
    2014 年 50 巻 5 号 p. 930-934
    発行日: 2014/08/20
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    症例は日齢0 女児で,在胎32 週4 日,1,996 g にて出生した.在胎24 週時に腸管拡張を指摘され,以後定期的に超音波検査を受けていた.出生当日腸管内容が高輝度となり,胎動が減少し腹水が出現したため胎児腸捻転による腸管内出血が否定しえず緊急帝王切開となった.同日apple-peel 型空腸閉鎖,口側空腸および肛門側回腸捻転に対し捻転解除,壊死腸管切除,腸瘻造設術を施行した.Treitz 靱帯より6 cm,回盲部より31 cm の小腸が残存した.日齢76 に空腸回腸吻合術を施行した.術後胆汁鬱滞性黄疸が増悪したがプレドニン内服開始後黄疸は漸減し,日齢142 には正常化した.日齢217 に一旦退院となったが,体重増加不良のため日齢265 より間欠的中心静脈栄養を開始した.1 歳3 か月時間欠的中心静脈栄養を終了し,以後発育発達ともに問題なく経過している.Apple-peel 型小腸閉鎖に空腸,回腸捻転壊死を合併した症例に対しては,敗血症,胆汁鬱滞に注意し,中心静脈栄養,経管栄養を併用した分割手術が有効であった.
  • 大場 豪, 奥村 一慶, 山本 浩史, 脇口 定衛, 奥原 宏治, 外木 秀文
    2014 年 50 巻 5 号 p. 935-938
    発行日: 2014/08/20
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    症例は10 か月女児.不機嫌と嘔吐で前医を受診,血液検査で胆道系酵素の上昇を認め,腹部造影CT 検査で膵頭部に囊胞性病変を認めたため紹介転院となった.上部消化管造影で十二指腸内腔に突出する腫瘤像と,それによる通過障害を認めた.腸管重複症を疑い手術を施行した.術中胆道造影で膵管と胆管は重複腸管内腔に開口していたために完全切除は困難と判断し,開窓術を施行した.十二指腸重複症は極めてまれな疾患であり,その診断と手術方法に関して報告する.
  • 原田 和明, 光永 哲也, 菱木 知郎, 齋藤 武, 中田 光政, 照井 エレナ, 小松 秀吾, 小原 由紀子, 小林 真史, 吉田 英生
    2014 年 50 巻 5 号 p. 939-945
    発行日: 2014/08/20
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    膵腺房細胞癌は,腺房細胞への分化を示す悪性膵外分泌腫瘍と定義される.全膵癌に対し1~2%と稀な腫瘍であり,小児例の報告は極めて少ない.症例は12 歳女児.嘔吐・体重減少・全身倦怠感にて発症し,腹部造影CT で膵頭部に長径47 mm の腫瘍と,多発性の肝・肺転移が認められた.開腹腫瘍生検にて膵腺房細胞癌と診断した.成人の切除不能膵癌に対して第一選択とされるgemcitabine(GEM)単独療法を2 クール施行したが肺病変の進行を認めたため,tegafurgimestat-otastat potassium(TS-1)内服を併用した.原発巣・肺転移巣の病勢の進行は抑えられたが,GEM 投与後に発熱や気分不快といった副作用が強く出現したため,TS-1 単独療法に変更した.しかし肺病変の進行と呼吸状態の増悪を認め,第496 病日に死亡した.膵腺房細胞癌は,切除例では長期生存の報告もあるが,化学療法に対する感受性は低く,遠隔転移を有する症例の予後は不良である.
  • 村瀬 成彦, 金子 健一朗, 小野 靖之, 横田 一樹, 牧田 智, 内田 広夫
    2014 年 50 巻 5 号 p. 946-949
    発行日: 2014/08/20
    公開日: 2014/08/20
    ジャーナル フリー
    新生児期に心不全を来す肺葉内肺分画症症例はほとんど報告がない.我々は同症に対して新生児期の胸腔鏡下分画肺切除により治癒が得られた症例を経験したので報告する.症例は在胎24週に肺分画症と診断された男児で,在胎39 週に3,438 g で出生した.出生後に呼吸不全,心不全を認め,造影CT で左胸腔に胸部下行大動脈から分枝する異常動脈と奇静脈への還流静脈を伴う囊胞性病変を認めた.肺葉外肺分画症内の動静脈シャントが高心拍出性心不全を引き起こしていると診断し,日齢21 に胸腔鏡手術を施行した.術中所見では左肺下葉内に含気不良な分画肺を認めたので肺葉内肺分画症であった.異常動脈と流出静脈を先行処理し分画肺のみ切除した.術後経過は良好で心不全症状は改善し術後20 日目で退院となった.
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