日本小児外科学会雑誌
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症例報告
小児傍尿管憩室に伴う膀胱尿管逆流症の外科手術
―膀胱外再建術の安全性,有効性についての検討―
田端 秀敏西中 一幸舛森 直哉
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2015 年 51 巻 4 号 p. 813-817

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抄録

これまで本邦では,小児傍尿管憩室に伴う膀胱尿管逆流症(VUR)に対する膀胱外再建術の治療成績に関する報告はなく,我々の施設の治療成績について報告する.2009 年3 月から2014 年3 月までに傍尿管憩室に伴うVUR に対して膀胱外再建術を施行した症例は,5 症例8 尿管(両側3 例,片側2 例)男児4 例,女児1 例であった.手術時平均年齢は5.7 歳,平均観察期間は49.4か月であった.VUR grade は国際分類II 度が2 尿管,III 度以上が6 尿管であった.術中の合併症は認めず,片側例で術後1 日目,両側例で術後3 日目に膀胱カテーテルを抜去しその翌日には退院可能であった.経過観察期間中に発熱性尿路感染症(fUTI)の再発は認めなかった.術後3 か月以降の腎臓超音波検査で水腎症を認めた症例はなかった.小児傍尿管憩室に伴うVUR に対する外科的治療として,膀胱外再建術は安全に施行可能であり,退院までの期間が非常に短く,長期治療成績も良好であった.

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