日本小児外科学会雑誌
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原著
小児鼠径ヘルニアに対するlaparoscopic perctaneous extraperitoneal closure(LPEC)の検討
―LPECは小児外鼠径ヘルニアの標準術式になり得るか?―
渡邉 高士窪田 昭男三谷 泰之瀧藤 克也山上 裕機
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2015 年 51 巻 5 号 p. 879-883

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抄録

【目的】小児鼠径ヘルニアに対して行われている腹腔鏡下ヘルニア修復術(laparoscopic perctaneous extraperitoneal closure:以下LPEC)をPotts 法と比較し,LPEC 法が男児,女児ともに標準術式となり得るか検討する.
【方法】2011 年から2014 年までにLPEC 法を施行した107 例(男児44 例,女児63 例)と2008 年から2010 年までにPotts 法を施行した71 例(男児38 例,女児33 例)を対象とした.これらの症例の手術時間,術後合併症,当日退院の完遂率を比較した.
【結果】手術時間の中央値は,男児の片側でLPEC 法35 分,Potts 法28 分(p<0.05),両側でLPEC 法43 分,Potts 法58.5 分(p<0.05).女児の片側でLPEC 法27 分,Potts 法27 分,両側でLPEC 法36 分Potts 法42 分であった.LPEC 法施行時に対側の腹膜鞘状突起の開存を認めた症例は,男児で18 例(42.9%),女児で35 例(60.3%)であった.LPEC 法での術後対側発症例はなかったが,Potts 法での術後対側発生は6 例(8.5%)であった.手術同日の退院率はLPEC 法98.7%,Potts 法で94.4%であった.
【結論】LPEC 法はPotts 法と同様に小児鼠径ヘルニアの術式として有用である.またLPEC 法は対側腹膜鞘状突起の開存の有無を評価するのに適しており,対側出現の予防に有効であると考えられ,男児,女児ともに小児鼠径ヘルニアの標準術式となりうると考えられる.

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