日本小児外科学会雑誌
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症例報告
濃厚な家族歴を有し,稀な胆管拡張形態を呈した膵・胆管合流異常の1例
牟田 裕紀植村 貞繁納所 洋久山 寿子山本 真弓吉田 篤史
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2015 年 51 巻 7 号 p. 1186-1189

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抄録

膵・胆管合流異常(以下PBM)の家族性発症は非常に稀であり,その遺伝性は証明されていない.症例は8 歳女児.反復する腹痛のため来院した.家族歴として母に非拡張型PBM の,伯母に先天性胆道拡張症の既往がある.腹部超音波検査で胆囊頸部に先天性胆道拡張症(戸谷分類II 型)に類似した約2.5 cm の囊胞性病変を認めた.MRCP では囊胞に加えてPBM が疑われた.経胆囊的胆道造影を施行したところ胆囊管の囊腫状拡張と8 mm の共通管が描出された.胆囊管拡張を伴うPBM と診断し分流手術を施行した.病理組織学的には胆囊管の拡張と炎症を認めType VI choledochal cyst と診断した.Type VI choledochal cyst は海外での報告は散見されるがこれまでに本邦では報告されていない.またPBM の一部に遺伝性を有する可能性があり,濃厚な家族歴を持つ場合はPBM を念頭においた精査が必要であると考えられる.

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