日本小児外科学会雑誌
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症例報告
末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法を含む集学的治療施行後,腺腫様甲状腺腫を発症した胸膜肺芽腫の1例
大野 幸恵菱木 知郎齋藤 武照井 慶太光永 哲也中田 光政三瀬 直子笈田 諭吉田 英生
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2015 年 51 巻 7 号 p. 1190-1197

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抄録

胸膜肺芽腫は,胸腔内の間葉組織に由来し主に5 歳以下の小児に発症する稀な悪性腫瘍である.今回我々は,胸膜肺芽腫の治療後に腺腫様甲状腺腫を発症した1 例を経験したので報告する.症例は2 歳女児.左胸部痛,発熱を主訴に近医を受診し,胸部X 線,胸部CT にて左胸腔全体を占拠する巨大な充実性腫瘤を認め当科紹介となった.開胸腫瘍生検にて胸膜肺芽腫(type II)と診断した.遠隔転移は認めなかった.化学療法にて腫瘍の縮小をはかり,根治的腫瘍摘出術後,末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法を行い寛解に至った.治療終了から3 年4 か月後,甲状腺の両葉に多結節性の腫瘤を認め,甲状腺亜全摘術を施行した.術後残存甲状腺に再度多結節性腫瘤を認め,増大傾向であったため前手術から2 年後に甲状腺全摘術を施行した.病理診断はいずれも腺腫様甲状腺腫であった.初療から7 年を経過し胸膜肺芽腫,腺腫様甲状腺腫ともに再発を認めていない.

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