2016 年 52 巻 2 号 p. 239-242
【目的】腸回転異常症に対する術式は,捻転解除後にLadd 手術を行うことが一般的であり,固定術の有用性は明らかではない.当院では固定術を付加することを原則として,正常の解剖学的走行となるように腸管を固定している.
【方法】1.対象と方法 本術式を採用している2006 年9 月~2014 年12 月までの症例を対象とした.カルテ記載に基づき,手術時間,術後合併症,再捻転の有無について検討した.2.術式 捻転解除,傍十二指腸靭帯を切離し腸間膜根部の開排を行った後に,腸管全体を反時計回りに180 度回転させて上腸間膜動脈背側を十二指腸が通過する形態とする.上部空腸を後腹膜と固定し,小腸を左上腹部から右下腹部へと並べた後,上行結腸を右側腹部の後腹膜と固定する.
【結果】対象となったのは17 例であった.手術時間は81±22 分であり,術後合併症は認めず,再発例も認めなかった.
【結論】本来の解剖学的走行に戻すという観点から,固定方法として本術式を考慮してもよいと考える.