日本小児外科学会雑誌
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症例報告
乳児期に発症した特発性横行結腸穿孔の1例
升井 大介深堀 優浅桐 公男吉田 索橋詰 直樹七種 伸行石井 信二田中 芳明谷川 健八木 実
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2016 年 52 巻 4 号 p. 992-998

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抄録

今回,乳児期に発症した特発性横行結腸穿孔の1 例を経験したので報告する.症例は8 か月男児.顔色不良,呻吟,嘔吐を契機に精査加療目的に当院紹介入院となった.増悪する腹部膨満のため腹部CT 施行すると横行結腸周囲にfree air と著明な腹水が認められたため,消化管穿孔の診断で緊急手術となった.横行結腸脾弯曲部に穿孔部が認められ,人工肛門造設術が施行された.術後DIC の併発と腹腔内膿瘍の遺残で治療に難渋した.特発性横行結腸穿孔の小児報告例は自験例を含め2 例のみであった.横行結腸穿孔は他部位より比較的予後良好とされるが,乳児症例である場合,症状の訴えが乏しく診断が遅れ,未発達な大網が穿孔部を被覆できずに重症化する可能性があり注意が必要である.排便異常の既往のある小児症例で消化管穿孔が疑われた場合は,本症も鑑別疾患に加えた迅速なCT の冠状断も活用した確定診断が重要であると考えられた.

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