2018 年 53 巻 3 号 p. 1074-1079
我が国では人口減少や少子高齢化が進行しており,そのような状況の中で快適な生活環境を実現するためにコンパクトシティの形成に向けた動きが活発になっている.一方で空き家の増加が深刻な問題となっており,特別措置法の制定や空き家の有効活用等,空き家問題への対応に関する取組が進展している.本研究では空き家発生の要因として居住地の需要・居住地の周辺環境・物件属性の3つを想定し,空き家の発生状況をこれら3つの項目と関連付けて把握することで,人口減少下のまちづくりへの空き家活用の一助とする.分析の結果,居住地の周辺環境の悪化が居住地の需要の低下に影響し,これが空き家率の上昇につながっていることが定量的に示されたほか,教育施設へのアクセスの悪さ等が建物の使用状況に影響を与える可能性が示唆された.