2016 年 52 巻 6 号 p. 1157-1162
【目的】小児卵巣腫瘍の茎捻転症例と非茎捻転症例の臨床的特徴について検討する.
【方法】1992 年4 月より2013 年3 月までの21 年間に当科で経験した小児卵巣腫瘍30 例について後方視的に検討した.
【結果】30 例の年齢は9.3±3.6 歳であり,患側は右側17 例(57%),左側12 例(40%),両側1 例(3%)と右側がやや優位であった.術式は,腫瘍核出術が22 例(73%),付属器切除術が7 例(23%),腫瘍核出術+付属器切除術(両側例)が1 例であった.組織型では良性腫瘍が25例(83%)と大部分を占め,境界悪性腫瘍が3 例(10%),悪性腫瘍が1 例,良性腫瘍+悪性腫瘍(両側例)が1 例であった.再発はgliomatosis peritonei を伴う未熟奇形腫の1 例のみで,死亡例はなかった.茎捻転を15 例(50%)に認めた.茎捻転症例の腫瘍径は8.1±2.6 cm で,非茎捻転例の11.5±5.3 cm と比較し有意に小さかった.また茎捻転症例の入院時白血球数は10,077±3,720/μl であり,非茎捻転症例の6,798±2,316/μl と比較して有意に高値であった.茎捻転症例においては,15 例中12 例(80%)が発症から手術までに24 時間以上要しており,そのうち他の消化器疾患との鑑別が困難なため診断が遅れた症例が6 例と半数を占めた.
【結論】茎捻転は50%と多く認めたが,腹痛の程度は様々で医療機関の受診が遅れること,非特異的症状を呈し診断が遅れることなどの理由で手術までに時間を要した症例が多かった.小児の下腹部痛の際は卵巣腫瘍茎捻転を常に念頭に置く必要がある.