2019 年 75 巻 7 号 p. III_435-III_442
下水汚泥9~10%を高濃度・高温嫌気性消化し,窒素・リンも回収するシステムについて検討した.消化汚泥のアンモニアストリッピングとその返送により消化槽全アンモニアを平均して1,760mgN/Lに抑えたところ,VS分解率57.8%,メタン発生率0.321NL/gVSが得られ,高分子凝集剤のみ用いる一液法の脱水が可能であった.アンモニアストリッピングは脱炭酸後,薬品添加なしで温度70℃,初期pH約9,2時間で実施し,流入汚泥からの窒素回収率20.7%が得られた.消化汚泥に対して水酸化鉄吸着剤を室温,pH4~5,24時間で適用すると,固形性リンの一部も溶解され,流入汚泥からのリン回収率54.6%が得られた.以上より,下水汚泥の高濃度・高温嫌気性消化およびアンモニア・リン酸回収の可能性が示された.