肺膿瘍を合併した縦隔奇形腫の2 例を経験した.症例1 は10 歳,女児.CT で前縦隔に長径30 mm の腫瘤および右肺膿瘍を認め,縦隔奇形腫の穿破に伴う右肺膿瘍と診断し,抗菌薬で炎症を鎮静化した後に手術を行った.胸骨正中切開で腫瘍摘出術および右肺部分切除術を施行した.症例2 は13 歳男児.発熱,咳嗽が続き精査のため当院へ紹介受診となった.CT で前縦隔に長径70 mm の多房性腫瘤を認め,また左肺膿瘍を形成しており縦隔奇形腫の穿破による左肺膿瘍と診断した.抗菌薬で膿瘍の縮小が得られた後に手術を行った.胸骨正中切開で開始したが胸腔側は癒着が強固であり前方腋窩切開を併用して腫瘍摘出術,左肺舌区切除術を行った.2 例とも抗菌薬治療を先行して炎症を鎮静化してから手術を行い,症例2 では肺膿瘍の縮小が得られたことで,左肺上葉切除を避けることが可能となった.患者の全身状態が許せば手術に先行して抗菌薬治療を行うことは有用であると考えられた.