2016 年 52 巻 6 号 p. 1236-1240
肺転移に代表される肝外病変を認める切除不能型肝芽腫に対する移植の適応や時期は,未だ確立していない.肺転移を認めた切除不能型肝芽腫に対する生体肝移植の2 例を経験したので報告する.症例1 は4 歳時に肺腫瘤影を指摘され,肝芽腫(PRETEXT IV,肺転移あり)と診断された.肺病変切除と化学療法後,5 歳時に生体肝移植を施行した.症例2 は発熱,腹部膨満,肝脾腫を指摘され,肝芽腫(PRETEXT IV,肺転移あり)と診断された.化学療法後に右肺病変を切除し,化学療法再開後に左肺病変も消失し,2 歳時に生体肝移植を施行した.2 症例で術後AFP は正常化を認めた.症例1 は術後2 年間再発所見なく外来通院中である.症例2 は術後経過良好であったが,術後17 日目に突然死した.診断時に肺転移を認める症例でも外科的切除と化学療法により腫瘍のviability をコントロールできれば肝移植で救命できる可能性はあると考えられた.