日本小児外科学会雑誌
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症例報告
思春期早発症を契機に発見された卵巣若年性顆粒膜細胞腫の1例
門久 政司岡本 晋弥嵯峨 謙一佐野 薫
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2016 年 52 巻 6 号 p. 1241-1245

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抄録

症例は7 歳女児.小学校入学頃より乳房発育を認めていた.その約半年後より不正性器出血が出現した.腹部超音波検査上,骨盤腔から臍上までを占める腫瘤を認めた.血液検査上,エストラジオール61.6 pg/ml と高値であり,MRI にて,腹腔内を占拠するT1WI で低信号,T2WI で高信号の充実部と歪な囊胞部が混在した14×10×7 cm 大の腫瘤性病変を認めた.術前診断としては,顆粒膜細胞腫もしくは未分化胚細胞腫として,右付属器切除術を施行した.術中所見は,対側付属器は正常所見であり,明らかな播種結節はなく腹水細胞診も陰性であり,FIGO 分類Stage Ia と診断した.病理結果は若年性顆粒膜細胞腫であった.追加の化学療法は不要と考え,現在外来で経過観察中である.若年性顆粒膜細胞腫は稀な疾患であり,今回は思春期早発症を契機に発見された.若干の文献的考察を加え報告する.

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