症例は正期産・自然分娩の男児.外表奇形は認めなかったが,出生直後より進行する腹部膨満および嘔吐を認め,注腸造影検査にて直腸閉鎖症(以下,本症)が疑われた.腸閉塞症状が高度であり,生後3 日目に左側横行結腸に人工肛門造設術を施行した.術後精査にて,閉鎖部位は歯状線から20 mm 口側の直腸で,隔壁の厚さは4 mm の本症・膜様閉鎖と確定診断した.生後10 か月時に,経肛門的膜様部切除術を施行した.術後経過は極めて良好であった.本症では,人工肛門造設術を先行することで,閉鎖部のより詳細な評価が可能となり,低侵襲かつ排便機能を温存する術式を選択できたと思われた.閉鎖部位の状況が不明な本症は人工肛門造設が必須と考えられた.