日本小児外科学会雑誌
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症例報告
経肛門的根治術を施行した直腸膜様閉鎖症の1例
高山 勝平青井 重善千葉 史子坂井 宏平津田 知樹樋口 恒司文野 誠久古川 泰三木村 修田尻 達郎
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2016 年 52 巻 7 号 p. 1309-1314

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抄録

症例は正期産・自然分娩の男児.外表奇形は認めなかったが,出生直後より進行する腹部膨満および嘔吐を認め,注腸造影検査にて直腸閉鎖症(以下,本症)が疑われた.腸閉塞症状が高度であり,生後3 日目に左側横行結腸に人工肛門造設術を施行した.術後精査にて,閉鎖部位は歯状線から20 mm 口側の直腸で,隔壁の厚さは4 mm の本症・膜様閉鎖と確定診断した.生後10 か月時に,経肛門的膜様部切除術を施行した.術後経過は極めて良好であった.本症では,人工肛門造設術を先行することで,閉鎖部のより詳細な評価が可能となり,低侵襲かつ排便機能を温存する術式を選択できたと思われた.閉鎖部位の状況が不明な本症は人工肛門造設が必須と考えられた.

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