抄録
原始紅藻Cyanidium caldariumの光化学系II (PSII) 表在性タンパク質はPsbO, PsbV, PsbUおよびPsbQ′から構成され、シアノバクテリアの表在性タンパク質の組成とは異なっており、その結合様式もシアノバクテリアと同一でないことが報告されている。このPSII 第4の表在性タンパク質PsbQ′は他の紅藻や珪藻にも存在するが、その局在情報は不明である。
そこで我々は、PsbQ′がPSII膜タンパク質のどのサブユニットと結合しているかを明らかにするために、静電的結合部位にアタックし架橋する水溶性カルボジイミド(EDC)を用いてC. caldarium のPSIIに対し反応を行い、抗体反応により近接関係の解析を行った。その結果PsbQ′と膜タンパク質との架橋産物を得た。同様の結果はC. merolaeのPSIIでも得られた。さらに、大腸菌から大量発現させたPsbQ′のシステイン残基にスピンラベルを導入し、膜に再構成後、YDラジカルとの距離をパルスESR(PELDOR)にて測定した。その結果、PsbQ′とYDラジカル間に34-35Åの距離情報を得た。これらを総合してPsbQ′の局在部位について報告する。