日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
症例報告
ロタウイルスワクチン接種後に腸重積症を発症し腸切除を要した1例
東尾 篤史高間 勇一三藤 賢志中岡 達雄米田 光宏中村 哲郎
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 53 巻 2 号 p. 272-276

詳細
抄録

近年ロタウイルス感染性胃腸炎予防のためにワクチン投与が行われている.ワクチンの副作用として腸重積症が知られているが,今回我々はロタウイルスワクチン初回投与後に腸重積症を発症し,非観血的整復中に消化管穿孔をきたし手術を要した症例を経験したので報告する.症例は2 か月男児.嘔吐と血便を主訴に前医受診.腹部CT 検査で腸重積症と診断された.初発症状から41 時間後に非観血的整復を施行されたがその途中で穿孔をきたし当院に搬送,緊急開腹術にて腸切除および腸瘻設術を行った.症状発現の4 日前にロタウイルスワクチンの初回接種の既往があったが,家族はワクチン接種後の腸重積症発症リスクの認識が不充分であり,そのため医療機関受診が遅くなった可能性が考えられた.ロタウイルスワクチン接種にあたっては,事前の患者家族への十分な情報提供が重要である.

著者関連情報
© 2017 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top