2017 年 53 巻 2 号 p. 277-281
症例1 は2 歳男児.胎便性腹膜炎,回腸閉鎖症で1 生日に手術施行し,残存小腸95 cm(残存回腸0 cm)となった.外来フォロー中に大球性貧血を認め,ビタミンB12(VB12)欠乏性巨赤芽球性貧血でVB12 投与を開始され貧血は改善した.症例2 は10 歳男児.小腸閉鎖で出生17 時間で手術施行し,残存小腸45 cm(残存回腸5 mm)となった.10 歳時に易疲労感,食欲不振が出現し,鉄欠乏性貧血とされ,鉄剤投与された.しかし貧血に改善なく,その後汎血球減少を認めたため,精査の結果VB12 欠乏性巨赤芽球性貧血と診断された.VB12 投与で貧血は改善した.VB12 欠乏は不可逆的神経障害の原因になるため,吸収障害による欠乏症を起こす可能性のある短腸症候群の患児では,長期フォローが重要である.VB12 欠乏を念頭においた注意深いフォローによる早期診断と治療が必要であると考えられた.