2017 年 53 巻 4 号 p. 944-948
Anterior cutaneous nerve entrapment syndrome(ACNES)は腹壁痛の原因として認知されておらず,本邦における小児の報告例はほとんど認めない.今回ACNESの2例を経験したので報告する.症例1,14歳,女児.運動中に右下腹部痛を発症した.血液・画像検査で異常なくCarnett’s test陽性であった.症状増悪あり腹直筋鞘ブロック施行するも効果なく受診後4か月で神経切除術を施行した.症例2,9歳,男児.原因不明の右下腹部痛あり,病悩期間は9か月であった.画像検査は異常なくCarnett’s test陽性にてACNESを疑った.手術希望あり神経切除術を施行した.ACNESは近年報告例が増加しており潜在的な症例数は多い可能性がある.検査所見は異常なく身体所見で疑うため疾患を認知することが重要である.局所注射も効果があるが,神経切除術が根治的で有効な治療と考える.