日本小児外科学会雑誌
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原著
C型食道閉鎖症根治術の工夫
―FogartyカテーテルによるTEF遮断法と軟性気管支鏡の有用性―
春松 敏夫内田 豪気藤村 匠加藤 源俊石岡 茂樹下高原 昭廣小森 広嗣下島 直樹廣部 誠一
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2017 年 53 巻 6 号 p. 1144-1148

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抄録

【目的】当院ではC型食道閉鎖症根治術時にFogartyカテーテルを用いた気管食道瘻(TEF)遮断法を施行し,換気の安定化を図っている.また,軟性気管支鏡での観察も行っている.Fogartyカテーテルの留置方法と気管支鏡検査の有用性について検討する.

【方法】2010年から2016年の間にC型食道閉鎖症根治術の際にFogartyカテーテルの留置を試みて,根治術を行った20例を対象とし診療録より後方視的に検討した.術前にTEFへFogartyカテーテルを留置し,TEFの遮断後に手術を行った.

【結果】TEFへのFogartyカテーテルの留置は,20例中19例(95%)に行うことができた.胃瘻造設を行った症例は認めなかった.手術開始からTEF確保までの平均時間は27分(17~47分),平均手術時間は116分(73~165分)であった.Fogartyカテーテル留置により呼吸管理は安定し,人工呼吸器での陽圧換気を行うことができた.記載のあった15例中8例に盲目的留置を行うことができていた.TEFが気管分岐部に近い症例ではFogartyカテーテルが挿入しやすい傾向がみられた.全例に軟性気管支鏡での観察を行った.TEFが頭側寄りに位置している1例で,第3肋間でのアプローチへと変更した.

【結論】小切開下での狭い視野での手術において,FogartyカテーテルによるTEF遮断法は,換気が安定し,TEF同定のメルクマールにもなった.また,気管支鏡での観察により,TEFの位置や大きさの確認もでき,術式の検討にも有益であった.FogartyカテーテルによるTEF遮断法は簡便で安全・低侵襲に行うことができ有用であると思われた.

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