日本小児外科学会雑誌
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症例報告
輪状膵を伴わない膜様型十二指腸閉鎖症術後に膵炎を繰り返した1例
古来 貴寛幸地 克憲武之内 史子松岡 亜記中田 千香子
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2017 年 53 巻 6 号 p. 1170-1175

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抄録

先天性十二指腸閉鎖症は膵管癒合不全など膵胆道系合併症を伴うことがある.今回我々は,輪状膵を伴わない膜様型十二指腸閉鎖症術後に,総胆管のY字型開口,膵管癒合不全を原因とするうっ滞性膵炎を繰り返し,開腹下副乳頭形成術を施行した1例を経験したので報告する.症例は2歳男児.日齢1に膜様型十二指腸閉鎖症に対し根治術を他院で施行され,術後2年で再発性膵炎を発症した.精査加療目的に2度endoscopic retrograde cholangiopancreatography(ERCP)を施行し,完全型膵管癒合不全,総胆管のY字型開口の診断となった.膵管癒合不全に伴う相対的副乳頭狭窄が原因の膵炎と考えられ,開腹下副乳頭形成術を施行し,術後2年1か月現在再発無く経過している.膵管癒合不全に伴う再発性膵炎に対する副乳頭形成術は第1選択術式と考えられた.

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